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 京大公認創作サークル「名称未定」の公式ブログです。
サークルについて詳しくはこちらへ→公式WEBサイト

2023-12

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おれたちの七月はこれからだ!

 ある日お風呂で湯を沸かそうとしたら給湯器くんがうんともすんともいわなくなっていました。夏にしては涼しい日のことでした。熱いシャワーでも浴びようかとおもっていた夜のことでした。仕方なく水を浴びることになったわたしが静かにふるえていたのは、ひとつにはその冷たさのためで、もうひとつには冷蔵庫に冷やしてあるビールをきっと楽しめないのであろうという絶望のためでした。案の定、缶の表面に汗を浮かべたマルエフは苦みが際立っていて、わたしは寂しくなりました。そんな七月上旬担当の有末ゆうです。二十一日だからまだ上旬です。だって、わたしたちの七月はこれからじゃないですか。
 お風呂はいまだ治っていません。いまは業者さんが管理会社さんと相談して修理の手はずを整えているらしいですが、なるべく早くしてほしいなとおもいます。さもなければ、夏とはいえ、日々の水浴びのためにきっと体調を崩してしまうに違いありませんから。
 というのはうそです。わたしは身体がさほど強くもないので毎日水浴びなんかしていたら不調を通り越して死んじゃいます。じゃあ風呂に入らず日々を過ごしているのかっていったら、こんな夏にそんなことをしていたらさすがに大変なことになってしまいます。だから答えは簡単で、この頃は近所の銭湯に通っているのです。願わくはそのお金が管理会社さんに出してもらえることを。
 実をいえばこれを書いているいまも銭湯から帰ってきてすぐのことです。傍らにはアルコールがあって、スマホにはザリガニを味噌汁にする動画がたれ流されています。扇風機の風は強設定で、窓から吹き込む風はわりあい涼しいです。もう日付は変わっていました。悪くない夜です、外を走る喧しいオートバイの音も許せる程度には。
 今日の銭湯はバイト帰りに立ち寄ったものでした。わたしの勤務先はそれなりの繁盛店で、シフトに入ると毎度それなりにてんてこまいになりながら働いています。それまでのわたしはバイト帰りにコンビニに入ってビールと最安のカップ焼きそばを買ってなかばむしゃくしゃしながら胃に押し込んでいました。だけどこの頃は、まず銭湯に行きます。足を伸ばせる湯船とばかみてぇに熱いサウナで汗を流すとくそみてぇなお客様を相手にする仕事もそれなりに許せる気がしてきます。うそです、そんなにくそみてぇなお客さんはいません。ともあれ心が安らぐのは確かですけれども。そんな安らいだ心でいまこれを書いているのです。今後のことは忘れました、七月末が締め切りのレポート、七月最終週のテスト、夏休み明けに控えている研究報告、いずれ来る就活。
 ハイボールは楽に酔うにはうってつけでした。銭湯で血行がよくなってはなおさらです。そして、銭湯の近くの24時間やっているスーパーでは一平ちゃんがコンビニよりわりと安く売っていました。むしゃくしゃはしていません。心安らかにすすりました。だってまだ七月です。まだ七月の上旬なのです、わたしたちの七月はこれからなのです。だから、まだ大丈夫。まだ大丈夫なのです。そう、まだ大丈夫な有末ゆうでした。七月上旬のブログでした。それじゃあ、またね!

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卒業式のおもいで

 このごろはブログの期限をまもった覚えがとんとない。じつをいえばこの記事は三月下旬のものだけど、気が付けば新年度が本格的に始まっていた(略して新本格)。春休みって長いなあ大学生サイコーっておもっていたけれど、もう休みどころか残された大学生活の時間が短い。それでも創作サークルらしくよく創作のことをよく考えていたので、まあ、よしとしよう。
 小説を書くとき、アイデアを考える仕方は人それぞれだとおもうけれど、わたしは最近お布団にくるまって考えることが多い。寝る前とか、起きた後とか。そんなだから二度寝する。このまえ暗闇の中でぼぅっと考えていたら、中学時代のことをおもいだした。あの頃の自分はいまおもいかえせばまあ斜に構えた「イタいヤツ」だったのだけど、そんなだから友達らしい友達は少なかった気がする。うそ、結構いた。それでも放課後に遊んだりとか、毎日一緒にいたりするような人は少なかった。
で、悲しかったことがある。それは中学の卒業式後のことだった。教室に戻って担任の先生のありがたいおことばを承って、それなりにうるっとした。でも悲しかったのはそのことじゃなくって、お別れが済んで一度トイレに立ったとき、戻ってくるともう教室に誰もいなかった。こういうのってそれなりに居残ってなんか話したりするもんじゃないの? みんなどこいっちゃったの? わたしは寂しくなって下駄箱に向かった。べつにいいし。高校ではもっといけてるやつになってやる。それで卒業式の日に、みんなで涙を流すんだ。
 わたしは下駄箱に向かった。廊下では卒業生の川ができていた。みんなわやわや話してて、別れのおしゃべりとかわたしもしたかったのになとかおもった。下駄箱に辿り着いたとき、数学の先生がわたしの肩を叩いた。
「有末、おまえみんなと一緒にいかなかったのか?」
「え、どこっすか?」
「地下の一番奥だとおもうけど。前から予約されてたし」
 聞いてねぇ、とはいわなかった。いってもむだだし。やっぱわたしはぶられてたんだ、くそどもめ。わたしは「わっすれてましたー」といって踵を返した。現場を押さえなくちゃいけない。それでどうなるってわけじゃないけどさ。でも悔しいじゃんよ。わたしは階段を駆け下りて地下一階にいった。
 地下には会議室が四つあって、うちふたつはぶち抜きにできる。集会の時とかによく使うやつだ。どこのクラスも打ち上げをしているらしくって、扉からは卒業生が溢れて、揚げ物やあまいものの香りが漂っていた。わたしは一番奥の部屋に入った。向けられたのは、なんだこいつ、って目だった。めちゃ気まずい。でも幸いだったのは、それがわたしのクラスメイト達のそれじゃなかったことだった。部屋を間違えたらしかった。
 しかし、おかしかったのはその部屋が間違いなく「一番奥」だったことだった。先生の間違いだったのかな、とおもって他の部屋を探ったのだけど、全部別クラスのだった。いよいよ先生にだまくらかされたのだろうかとおもって、やっぱりあきらめて帰ろうとした。わたしの中学生活のおわり、こんなかよ。
 そうおもっていたら、視界の端を横切る影があった。別クラスの、それでもそれなりに仲良くしていた子だった。その子が階段を駆け下りて来たかとおもうと、くるっと回って、さらに階段を下りて行ったのだ。
 それでわたしはおもいだした。地下はもっと下に伸びていたんだった。わたしは彼女を追って走り出した。階段をひとっとびに駆け下りて、踊り場でターン。もう一つ下の階について、あの子がまだ下へ走っているのが分かった。だからわたしは彼女の背中について地下六階までたどり着いた。ここが一番下の階だった。彼女はわたしに気が付いている様子はなかった、廊下を駆けて行って、角を曲がった。その先にわたしのクラスメイト達がいる部屋があるはずだった。
 息を切らしていた。あたりまえだ、あんなに走ったんだから。わたしは締め付けるように痛むふくらはぎに鞭打って廊下を歩いた。上の階の喧騒はすっかり消え去り、換気扇の回る音が響いているだけだった。廊下には赤いじゅうたんが敷かれていた。それがさらに音を吸収しているようでもあった。
 角を曲がったとき、誰かにぶつかった。あの子だった。真っ青な顔をしていた。彼女はわたしを見上げると、すごい力で突き飛ばして階段の方へ駆け戻って行った。なんだよ、まったく。わたしは廊下の先をみた。ひとつの扉がそこにはあった。木製で、両開きのものだった、真鍮製の金色のノブは掠れた輝きを放っていて、表面にはいい現わしがたい模様が浅浮彫で刻まれていた。なんの声もしなかった。なんの音もしなかった。
 想起されるのは、さっき走り去ったあの子の顔だった。きっとあの子は扉を開いたんだ。
 わたしは扉の前に立った。でも、ノブを掴むことはできなかった。その代わりにわたしは右の耳を、ぴったりと扉に当てた。なにかが掠れるような音が聞こえた。ものを引きずるような、蛇が息を漏らすような。
 だからわたしは、これはだめだって確信したのだ。たぶん、この扉は開けちゃいけない。ここにいちゃいけない。わたしは立ち上がって駆け出した。
 目が覚めたのは、その瞬間だった。夢でした、お察しの通り。
 おもいかえせば怖くもなんともないけれど、やな夢だった事だけは確かだ。創作のことなんか考えて寝るからこんなになるんだ。
 そんな話を、朝、雑談がてら友人に話してみた。そしたら彼は「それならぼくのが怖い夢を見たよ」といった。
「それってのもさ、こーんくらいの」
 彼は、腕をいっぱいにのばした。さしわたり一メートル五十センチはあった。
「ニラがずるずるって出てきたんだよ、歯ぐきから」

以上、担当は有末ゆうでした。またね!

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もうすぐ新年!

 目覚めのすぐあとで布団を出るのがことに億劫になってきて、もう冬なんだと自分を納得させることがようやくできました。有末ゆうです。秋がわたしを引き留めるとして、両肩に置かれた片方の手はきっと八月担当分のブログで、もう片方の手は九月の担当分でしょう。あるいは夏です。夏に忘れてきたものがかさばりすぎていました。
 
 大学生のこととなると、年がひとつ巡るとそれからすぐに春休みがやってきます。だからいまのわたしたちはきっと遠からぬ日にテストとレポートに圧倒されながら死んじゃいそうになっていて、それでも夏の終わりと一緒にはじまった後期はどうあれおわります。学生の四か月なんてあっというまですね。その間にわたしはどれだけのことをできたんだろうなんてふと考えてみて、やっぱり死んじゃいそうになりました。創作サークルに入っておいて、この後期はお話のひとつも書くことができませんでした。スランプですね。存在意義。
 
 不肖のわたしでございますが、九月のまるまる全部を費やしてひとつのお話を書きました。でもそれ以来わたしのワープロくんは、授業のレポートと発表資料をつくりあげることばしか語っていません。わたし自身もきっとそうでしょう。すっかり創作や想像、あるいは空想というものから頭が離れてしまっていて、ほんとのことをいうならこの文章を書くのにも半年前の息遣いをすっかりわすれてしまったせいで難儀しています。困ったものです。苦しいです。存在意義。このまま息が止まってしまったらって考えると、ちょっと怖いです。
 
 そういえば、一年か、二年くらい前に先輩とお酒を飲ませていただいたときに、ふわふわした頭でくだを巻いていた気がします。ひとにいわれたことも、自分でいったこともすぐに忘れてしまう気質のわたしですが、あのときのやりとりはなぜだかおぼえています。

「趣味については」わたしがそういったんです。「趣味については飽きっぽい性格で、昔は一生付き合っていくんだろうとおもっていた音楽も、料理も、今振り返れば数年と経たないうちに概ねやめてしまっていたんです」

「はあ」先輩は眠そうな声で相槌を打っていたとおもいます。「そんで」

「創作についてもそうなるのかなとおもいまして。いまは楽しいんですけどね。打ち込んでもいます」

「いやなの?」

「音楽とか、料理とか。冷めてしまってもべつだんいやではなかったです。でもいやなことがあるとすればそのことです。いまの自分がよりかかっているものが、いつか大したものじゃなくなるんです」

「若いね」

「昔からそんななんです。いま好きで、なんども聴いているアルバムを、きっと数か月もすれば聴いていないだろうなとかおもってすこし悲しくなるんです」

「エモいね」

「それがなんか怖いんですよね」

 わたしはカップに入っていた日本酒を干しました。先輩は自分のカップにウイスキーを注いでいました。まるこい瓶は空になっていました。

「いまは楽しいんでしょ」先輩はいいました。「ならいいじゃん。未来になってもそうなるんなら」

「別の趣味?」

「あるいはそれが一生の」

「あんま想像つきませんね」

「いま考えることじゃないんでしょ。いつ考えることでもない」

 先輩はそれから数か月のうちに大学を卒業して就職しました。あまり連絡を取り合うような仲でもないから生活がどんななのかはよく知りませんが、就職しても先輩は年に二、三本くらい作品をあげています。かくありたいものだ。そうおもっています。

 まだわたしは別の趣味を見つけていないようです。でもまだそれも必要ないみたいです。四苦八苦して、息が辛くて、もどかしくってむずがゆくって、それでもなんとかことばをひねりだしてキーボードを打つわたしの指先は、まだ楽しめているみたいです。

 なんて、ひさしぶりにお話めいたものを書いてみました。実際のことをいえば:べつにそんなに悩んでない。存在意義がどうだとか考えちゃいません。わたしがお話を書くのはただ面白いねっていってちやほやされたいという欲求によってだけですし。承認欲求モンスター! まだわたしのそれはそんなに大きくなっていない、と、信じたいものです。いつかそれが幼いまんまで大きくなったら、そのときはそのときで、辛くって苦しくって死んじゃいそうで叫びながら、それでもなんか書いているんでしょう。書いたはじからまた焦燥感にちりちりしながら泣いてるんです。それでいつかことばが怖くなるんです。でもそのときには、別の趣味を抱きしめているんです。そうだろうか。そうだといいな。やっぱいやかも。なんちゃって。これもまたお話。

 なんだかだらだら書いちゃいました。二十三時五十分。夜が眠いんです。でも、おかげで次の年を迎えられそうです。駄文を失礼しました。今度は時期を外さぬブログ担当でお会いしたいものです。それでは。八月下旬、九月上旬担当、有末ゆうでした。エモい文章書いていきたいな。それじゃ、またね。

Edit 00:08 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

三題噺『三段論法』『こだわり』『千円札』

 わたしが食券機の故障に気が付いたのは、ひとつには日ごろから頭の片隅で四則演算が駆け巡るようないくぶん不便なタチをしていたからだし、もうひとつにはその店に幾度も通い続けていたからだった。
そのラーメン屋は、大学の横の交差点のすぐそばにあった。このあたりはラーメン激戦区と呼ぶには少し店舗数が少なく、しかし、そこいらの地域に比べればかなり豊富な店があった。わたしが足繫く通うその店は真黒な外見をしていて、すこし不愛想な雰囲気を覚えさせる。しかし堂々と掲げられたその看板の金に輝く文字に励まされて扉を開けば、元気なにーちゃんが笑顔で迎えてくれる。
入ってすぐそばの場所には食券機が置かれている。数週間前に店内を改装したようで、以前の場所とは違うところに置かれている彼にいくばくかの戸惑いを覚えながら、わたしは並らーめんと白ごはんを注文した。
この店の麺は、いわゆる家系というやつだった。醤油とんこつのスープにたっぷりの鶏油がかけてあり、上には控えめなチャーシューとのり、そしてほうれん草がトッピングされている。
このほうれん草が重要だ。湯がかれてしんなりとしたこの子は、そのまま食べてしまえば些か青臭さが鼻につく。しかしまろやかなスープに絡ませて食べてみればいかがだろうか、とんこつ醬油のマイルドな味わいに包まれて、ほうれん草の甘味が口の中に広がる。こってりしたスープに口の中が疲れた時に、この子が場を仕切り直してくれる。
そう、この店のスープはいくぶん濃いのである。もちろん味は調整できる。薄め、普通、濃いめ。お好みに合わせてカスタマイズできるのは特徴だ。スープの濃さのほかにも、麺のかたさ、油の多さを調節できる。わたしが注文するときは大体、かため、普通、多めだ。そしてのり増し。だからごはんが必要なのだ。
この店のごはんは、なんと五十円なのである。しかもおかわりが無料。これぞ学生街といった風情で、なんともありがたい。そして、この店はサービスでもやしナムルを提供している。もやしをごはんに載せる。これですでに米が進む。だけど、そこにスープのしみ込んだのりを巻いてほおばる。これが正しいのである、少なくとも私の中では。
のりとナムルでご飯を一杯。おかわりを少なめにもらって、スープと共にもう一杯。そうして見えてくるのは桃源郷――とまで言ってしまえば大げさだが、これがわたしの幸福をいくらか支えてくれているのだ。
――と、ラーメンをいただくことを想像しながら食券を手に取ったわたしは、おつりボタンを押した。ちゃりんちゃりんと音を立てて落ちてきた小銭を財布に入れて、席へと向かう。さあ、パーティーの始まりだ。
しかしそのとき、わたしはふと疑問に思った。
ちゃりん、ちゃりん?
音からすれば、つまりおつりの小銭は二枚だったことになる。しかしそれはおかしいのではないだろうか。わたしは千円札を食券機に入れた。並らーめんは七百円である。ごはんは五十円である。食券機が正しくうごいているならば、おつりは二百五十円であるはずだ。
二百五十円であるならば、その構成は小銭三枚以上になる。
おつりの音はちゃりんちゃりん、つまり二枚であった。
ゆえに、おつりは二百五十円ではない。
ゆえに、食券機は正しく動いていない。
わたしはかるくかぶりを振った。長年この店に務めている食券機くんのことだ、疲れの貯まることもあるだろう、メンテナンスが必要になることもあるだろう。わたしがすべきなのはだから、激昂するようなことではなくて、店員さんにさりげなく声を掛ける、それだけなのだ。
わたしはふと食券機を振り返った。歴戦の戦士、その顔を今一度拝もうとして――しかし、わたしは言葉を失った。
『まことに身勝手ながら、五月一日より、ラーメンを五十円値上げさせていただきます』
 そこには、そんな張り紙が為されていたのだ。
 つまり、わたしの購入金額は八百円。よって、おつりは二百円。
 わたしは黙って席に座った。
 時間は流れゆく。街の景色も、住む人も、漂う空気もやがて変わっていく。わたしもきっと、明日には今日のわたしではなくなっていく。変化に戸惑うときもあろう、傷つくこともあろう、だけどそれを飲み込んで、わたしたちは日々を過ごしていく。そうして多くのものが変わってしまった中で、むかしの風景は郷愁となってわたしたちの中で化石していく。
 それでいいのだ。
 運ばれてきたらーめんとごはんをかきこみながら、わたしはひとり、ただ頷いていた。それでいいのだ。
 わたしはこれからも――それでも――この店に通い続けるのだろう、通い続けてしまうのだろう。それでいいのだ。それが、いいのだ。
 わたしは麺を啜った。中太麵に絡まるスープは、いつもより美味しい気がした。

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 てなわけで今回は三題噺(お題を三つ募って、全部使ってなんか書くやつ)でお茶を濁させてもらいます。なんもアイディアがなかったんでね、同期と先輩に頼んでお題をもらいました。
 さてさてそんなわけで今回はこのあたりで。担当は有末ゆうでした。またね!

Edit 22:24 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

穴埋め

 たとえば地面に敷かれているタイルがありますが、一つ一つの正方形のタイルが規則正しく並べられて行列を作るなか、なんらかの事情でちょこんと一つ、そこからはみ出してしまうものがあることでしょう。九×九で並んでいるのに、八十二個目が居心地悪そうにぽつんと敷かれていることがあるでしょう。そういうときはその八十二番目の彼をそっと取り去ってしまいたくなります。あるいは壁にトビズムカデが這っているとき、彼女の脚が一本、欠けていることがあります。そういうときは手作りの脚をいっぽん、そっと差し上げたくなります。あるいは本棚に真ん中の巻だけ欠けて並んでいる漫画、駐輪場で枠の中から一台だけはみ出している自転車、ナッツバターおにぎりだけが品切れになっているコンビニの陳列棚、一室だけ空洞になっている組み立て式アパートメント、たった一つだけ、これ見よがしに浮き出ているエンターキー。そうした、どこかちぐはぐなかんじを覚えさせるものの並びを、どうしても均してしまいたくなるときって、あると思います。つい先日の二月二十九日も、なんとなしに気持ち悪くかんじてしまったりしました(二月二十九日生まれの方、ごめんなさい……!)。そういうのって、文章を書くときにも感じてしまうことです。どうしても一文字+句点が次の行に来てしまうとき、これをどうにか改行させないように、あるいは次の行がもっと長くなるように文章を推敲したりします。だけどいざ読んでみると、べつにそういう改行ってあまり気にならないんですよね。書いているときの、ともすれば無意味なこだわりなのかもしれません。あと、隣り合った行で句読点の位置が変にそろってしまうときも、なぜか違和感を覚えてしまいます。これってどっちかっていうとちぐはぐではなくて均整のとれている文な気がするんですけれど。結局のところ、わたしは歪なものにも整ったものにも気持ち悪さを感じてしまう人間なわけで、いやはや難儀なものです。正三角形は多分苦手で、鈍角をもつ三角形も結構苦手。直角もうーん。てなわけで。
 さて、この文章を書いている今日は休日で、数年ぶりにわたしがかつて所属していたサークルのブログを見てみたら、2022年四月上旬の分が欠けていました。歪ですね。きっとこのときの担当者だった誰かがさぼっちまったんだろうなあって思ったんですが、はて、この年ってわたしは何回生だったろうと思って計算してみると三回生でした。そうして過去に思いを巡らせようとすると、するするその頃の記憶が引き出されてきました。そうだった、わたしが三回生のころ――その二年ほど前に新型コロナウイルスという感染症が広まり始めて課外活動もいくぶん制限されていたのですが――そのころにはいろいろな制限がなあなあにされて、それなりに自由に活動ができるようになり始めていたんでした。わりと、対面とかでの新歓もできるようになっていたんだった。っていうか、四月上旬のブログなんて重要もいいところじゃないですか、それをさぼるなんて、どんな人なんだろうってそれわたしだったー! なにやってんだわたし、ブログさぼってんじゃあねえですよ!
 とはいっても、もう六年も経った今、責任をとるもくそもないっていうか、べつに会長に怒られた覚えもないですしね、うん。といっても、じぶんのせいでブログ更新が歯抜けになってるっていうのもなー、とおもっちゃって。それで、ちょこちょこっとツール使って入ってみたら、なんか更新日時のデータをいじって書き込むことができそうでした。ラッキー。今の顔も知らないWEB管さんには申し訳ないけれども、穴埋めしちゃうぜ☆ってなわけでいまこれを書いています。六年越しの穴埋め。ロマンがあるなあと思うとともに、そんなことしたって六年前にこれが見れるようになるわけでもないんですけどね。まあ、ただの自己満足です。六年も前の記事を漁ろうっていう酔狂な読者くんたち見てるー?(古いか。)
 そんなわけで、2022年四月上旬の担当はわたしです。わたしだったんです。あのときのペンネームを今書くのはちょっと恥ずかしいですね。でも書きましょう、だってあのころのわたしはそうして署名するんですから。
 ではでは今回はこのへんで。担当は有末ゆうでした。またねっ!

Edit 16:38 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

 

今月の担当

 

今月の担当日&担当者、のようなものです。これ以外の日にも、これ以外の人が更新したりします。

今月の担当は
上旬:Hano
中旬:京
下旬:西桜 です。

 

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