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 京大公認創作サークル「名称未定」の公式ブログです。
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2009-02

主君の仇、親の仇……

キリストや西洋の話はとんと分かりませぬ。というか、知識がない。時代劇好きな私は、日本史ベースで仇討ちの話しようと思います(日本史もよく知らないくせに)。

八墓さんや彰子さんが仰られるように、仇討ちは分かりやすい行動原理だと思います。マイナス方向の感情による行動であることも分かります。ですが、私は仇討ちを否定的に捉えたくはありません。

今はともかく、かつての日本では、仇討ちはどちらかと言えば肯定されるものであったと思います。現代に至るまで美談として語られる忠臣蔵とか、代表的な例でしょう。史実でも、戦国時代などでは主君の仇討ちは普通にありますし。本能寺の変後の秀吉の中国大返し~山崎の戦いとか、良い例です。時代劇でも仇討ちをテーマにしたものは多いですし、作中で仇討ちを果たした者が「あっぱれ」と評価されることもしばしばです。それどころか、仇討ちが認められているという設定もかなり多いですね。実際の江戸時代がどうだったかは知りませんが。

仇討ちを果たした者のその後はといえば、忠臣蔵のように死が待っていたり、あるいは罪の意識を背負って生きていく、というパターンもある一方で、無事仇討ちを果たしたことで満足し、普通の生活に戻る場合もありますね。めでたしめでたし、で終わる時代劇では、このパターンがかなり多いと思います(そうでなければ、仇討ちを試みた者は大概途中で死ぬ)。

というわけで、仇討ちを為そうとするキャラには、必ずしも悲劇的な最後を用意する必要はないと思います。むしろ、重要なのは仇討ちの過程ではないでしょうか。仇討ちを為そうとする者は、命を懸ける覚悟がいるわけですから。私としては、計り知れぬ危険と苦労を重ねた結果見事仇討ちを果たし、幸せになって全てが報われる、というパターンが好きですね。死なせるパターンで行くならば、せめて相討ちで。

え? だったら自分で書けって? ……そのうち書いてみたいとは思ってるんですよ。仇討ちとか、すごい好きですし。よく考えたら、好きな作品にも仇討ちモノは多いですね。必殺仕事人とか、七つの海七つの空(青池保子・作)とか。

仇討ち、格好良いじゃないですか。美しいじゃないですか。親子関係・主従関係を大切にしてきた日本人らしくて。

しかしそれにしても、悪に対して悪で報いちゃダメだって言うなら、大概の時代劇は成り立たなくなってしまうんじゃないでしょうか。概ね、主人公が悪人を「殺して」終わりますからね。主人公補正で許されるのかしら?

正直、勧善懲悪の話はあまり好きじゃないです(時代劇はそういうのばかりなのに何故か好き)。悪役フェチで、正義の味方はむしろ敵視。ガチガチの倫理も好みません。悪の美徳。……だからこんな考えが出るのかも知れませんね。

……皆無に近い知識だけで書いてるから、色々間違ってそうな気がしてなりません。間違いがあったら遠慮なく指摘して下さい。私も勉強しなきゃ……

[黒崎紗華]

Edit 21:25 | Trackback : 0 | Comment : 4 | Top

剣をとる者はみな、剣によって滅びる

 バーイマタイ福音書。

 キリスト教の世界観は、大抵の日本人には普通の(あるいはちょっとお固すぎる)倫理を言っているように見えるのですが、実際は「すべての決定権は主にあるんだから人間が勝手なことしちゃダメ」なんですよね。復讐もまた然り。

 復讐が簡単で手っ取り早い動機付けであることには賛同いたします。復讐が終わった後そのキャラの処遇がいささか面倒ではありますが、私は王道を信条にしているので、最後に適度に感動的な死なせ方をしておけば物語としてのバランスは取れます(安易とかご都合主義という批判はおいておくとして)。従って復讐キャラはかなり扱いやすいです。でも私にとっては、他の心理描写や性格付けに手を焼くキャラクターに比べて、ずっと書くのが大変です。難しい簡単の問題ではなく、実際に書くとき、非常に疲れるのです。復讐は強烈ではあってもマイナスのエネルギーなので、書き手としては気分が暗くなって精力を削られます。特に心理描写に踏み込んだ日には苦手なコメディ書いているほうがマシだというほど疲れます。そんなわけで復讐キャラは大分昔に一回作ったきり二度と挑戦しませんでしたね。

 同じマイナス的感情つながりで、サディスティックな欲望とか、恐れながらもおぞましいもの、恐ろしいものを見たいという感情がありますよね。そういう感情は、「正常な」嗜好の持ち主にも生まれ得る、もしくは心のどこかに持っているものであるのは異論がないと思います。文学においては、人の心に生まれるそういったどす黒い感情をメインにする場合もありますし、そうでなくてもスパイス程度に使う作品は多いです。何から何まで慈悲深く、理性的で、清く正しい人なんて滅多にいません。ところで私も物書きの端くれですが、この手の感情を扱うのがたいそう苦手です。どうも「お上品な」キャラクターしか書けないんですよね。曇りのない人格に墨を垂らすことができないんです。そういう点がないほうがおかしいし、ある程度は暗い感情がないと話が進まなかったり、辻褄が合わなくなってきたりするのに。どうやったら読者がそのキャラクターが嫌わない程度に暗い感情を入れられるのか、模索中です。

 しかしそれはそれとして、レンタルビデオ屋にスプラッタホラーを普通に並べるのは止めて欲しいものです。隔離しないのは、世の大半の人はホラーのジャケットくらい見ても平気だからなのでしょうか。私はえぐいものを見るとしばらく夢見が悪いタイプなので、サディズムの発露だのおぞましい怪物だのをリアルな画像で見るのなんて絶対にごめんです。ラブコメの棚の向かい、ふっと振り返ったらおぞましい顔。「大鴉」とあるので「どんな文芸映画かしら(大鴉はE・A・ポーの詩)」と手に取ったら血みどろのジャケット。新作の棚の下にふいっと視線をやったらなにやら血だらけの椅子がぽつん。「サディスティックの極み」と宣伝するような代物を普通の作品と一緒にしないで頂きたい。そもそもどうしてハリウッド映画はあんなにもホラーが多いのでしょう。そんなんだからアメリカは猟奇殺人が絶えないんです(超言いがかり)! それに、レンタルビデオ屋で(半強制的に)見せられた限りでは、この手のホラーの犠牲者(?)って子供も少なくないみたいですし、気味が悪い以前に児童虐待に見えて気分が悪くなります。小学生くらいの女の子が裸で目隠しされて血を流してるのなんて、ホラーでR指定とか言う前に(向こうの)法律に引っかかってると思います。

 幼い子供のお風呂の写真が児童ポルノ取締りの対象になる一方で、こういうのが蔓延しているのを見ると、歪んでるなあと思ってしまいます。すべてが一貫しているものなんてなかなかありませんし、文学だって人や社会に内在している矛盾を扱ったものがたくさんあります。でも、個人的に、こういう歪みは文学よりは社会学の対象だという印象があります。なんででしょうね。アメリカ社会がそもそも文学に合わないから?

Edit 22:38 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

復讐するは我にあり

こんばんは、という時間帯の書き込み、現会長八墓です。

ちょいと気になることがあってタイトルのことを調べました。これは新約聖書の一節なんですね。

意味は「悪に対して悪で報いてはならない。悪を行なった者に対する復讐は神がおこなう(参考;詩篇94:1)」(Wikipedia参照)ということだそうです。ここで言う「我」とは所謂神様のことだと。

物語内でのキャラクターの行動原理が復讐というのは、ある意味で分かりやすい。他方、復讐が行動原理である以上、ある程度過激なことをやってのけなければいけないだろうと思います。

今未定の内部誌で書いている小説で仇討、復讐を目的としたキャラクターを前号から登場させてみました。登場させた後になって何の作品の影響が色濃く出ているのだろうかと想起してみた所、「ベルセルク」(作:三浦建太郎、ヤングアニマル連載中)かと思いきや、以前に書いた「RED」に行き着いたのでした。

「復讐」という行為そのものはどちらかと言えば後ろ向きなことだと思っています。上記の「RED」においてはそこのところは「闇に行く」「闇に向かう」という言葉で表現されていました。その行き着く先にあるものは決して晴れやかなものではない、ということで。それは「ベルセルク」でも今のところあてはまっている、と個人的には解釈しています。「からくりサーカス」(作:藤田和日郎、週刊少年サンデー掲載)の場合も不死者「しろがね」は「復讐を遂げると生を満足して死ぬ」という設定でした。

今はまだ殆ど描写はありませんけど、あの人は目的の為に血に塗れながらただひたすらに剣を振るいます。そのうちに目的も達成されるかもしれません。が、その後に日のあたる場所に戻るのか、それとも…


……まだ迷っています。まあ結論に表れるのはまだまだ、1年以上先のお話ですので。

<八墓ゆう>

Edit 20:19 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

 

今月の担当

 

今月の担当日&担当者、のようなものです。これ以外の日にも、これ以外の人が更新したりします。

今月の担当は
上旬:安野深砂
中旬:西桜
下旬:氷崎光 です。

 

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