NFリレー小説【一日目】
こんばんは、美崎あらたです。
もうみなさんご存知かもしれませんが、名称未定の「創作屋さん」では来場者参加型のリレー小説をやっております。
その記念すべき第一日目がどのようなストーリーになったのか、ここで発表しようと思います。
なかなか完成度が高いなーと個人的には思っております。
それでは、自分の書いた文章はどこにあるかなーなどと楽しみながら読んでもらえればよいかと思います。
まだまだ最終日まで企画は続けておりますので興味を持たれた方はおこしください。
●11月22日(木)
男は京都大学の門をくぐった。どうやら今日は文化祭のようである。「NF」という言葉があちこちから聞こえるが、男はそれが何の略であるか知らなかった。
文化祭のようだから、「F」はfestivalだと推測できる。しかし「N」は何だ? 京都大学のやることだ。きっと面白い略語に違いない。「N」「N」「N」……。ひょっとして「NON」なのだろうか? なるほど、学園祭と見せかけて実は学園「祭」ではなかったのだ!
ということはF=festivalではないということだろうか? 「F」とは何だ? 「F」とは何だ? Fantasy? いや、違う――その時男の中にある声が降ってきた。”Fiction” そうか! そうだったのか! NFとは「NON FICTION」だったのか!
文化祭の中で皆がつぶやくノンフィクション……これはいったい何を意味しているのだろう?
そのようなことを考えながら歩いていると、一つの建物の前に行きついた。
「キチケットどうですかー?」
そんなことを宣伝している男がいる。
僕はその男になんとなく見覚えがあった。なんとなく知っているはずだが名前が思い出せない。しかし何か僕の中で重要な役割をもっているような、そんな感覚であった。
僕はとりあえず男の言葉に従いキチケットとやらに行ってみることにした。それが一番いいことのように思われたからだ。……そして会場。
閑散……。圧倒的閑散……。ブースが点在している。
この状況に、僕は一つの結論を見出した。Non Fictionの意味、それは虚構創造物の否定、絶対的現実主義。――このキチケットは、弾圧されている!
ああぁ、またやってしまった。考えすぎだ。考えすぎに決まっている。いつもだ。俺はいつも考えすぎだ。男は自身の思考回路に急停止を強制的にかけ、人のまばらなキチケットを出ようとした。声をかけられた。
「あれ、もしかしてタツミ君?」
振り返ると、一人の女の子が立っていた。長い黒髪、緑のワンピース。黒の光沢のあるブーツを履いた彼女は、どこかこの場にそぐわないような……。
ニコニコと笑顔で見つめてくるのに気づき、何か答えなければと僕は口を開いた。
「ごめん、どこかで会ったことあったっけ?」
その言葉を聞くなり、彼女は悲しそうに眉根をよせる。
「そっか……そうだよね。ごめんね、何でもないの」
そう言って彼女は俯いてしまう。どうしよう、何も思い出せない。手がかりはないだろうか? 何か――。
ふと、彼が抱きかかえている小冊子が目に留まった。
彼女の後ろにいた彼。彼が持っていた小冊子は緑色をしていた。気づけば周りの人々全員が緑色の服を着ていた。
その瞬間思い出す。僕は絶対的現実主義組織『NF』と戦う緑色軍団『キチケット』の一員であることに。
(11月22日―完―)
もうみなさんご存知かもしれませんが、名称未定の「創作屋さん」では来場者参加型のリレー小説をやっております。
その記念すべき第一日目がどのようなストーリーになったのか、ここで発表しようと思います。
なかなか完成度が高いなーと個人的には思っております。
それでは、自分の書いた文章はどこにあるかなーなどと楽しみながら読んでもらえればよいかと思います。
まだまだ最終日まで企画は続けておりますので興味を持たれた方はおこしください。
●11月22日(木)
男は京都大学の門をくぐった。どうやら今日は文化祭のようである。「NF」という言葉があちこちから聞こえるが、男はそれが何の略であるか知らなかった。
文化祭のようだから、「F」はfestivalだと推測できる。しかし「N」は何だ? 京都大学のやることだ。きっと面白い略語に違いない。「N」「N」「N」……。ひょっとして「NON」なのだろうか? なるほど、学園祭と見せかけて実は学園「祭」ではなかったのだ!
ということはF=festivalではないということだろうか? 「F」とは何だ? 「F」とは何だ? Fantasy? いや、違う――その時男の中にある声が降ってきた。”Fiction” そうか! そうだったのか! NFとは「NON FICTION」だったのか!
文化祭の中で皆がつぶやくノンフィクション……これはいったい何を意味しているのだろう?
そのようなことを考えながら歩いていると、一つの建物の前に行きついた。
「キチケットどうですかー?」
そんなことを宣伝している男がいる。
僕はその男になんとなく見覚えがあった。なんとなく知っているはずだが名前が思い出せない。しかし何か僕の中で重要な役割をもっているような、そんな感覚であった。
僕はとりあえず男の言葉に従いキチケットとやらに行ってみることにした。それが一番いいことのように思われたからだ。……そして会場。
閑散……。圧倒的閑散……。ブースが点在している。
この状況に、僕は一つの結論を見出した。Non Fictionの意味、それは虚構創造物の否定、絶対的現実主義。――このキチケットは、弾圧されている!
ああぁ、またやってしまった。考えすぎだ。考えすぎに決まっている。いつもだ。俺はいつも考えすぎだ。男は自身の思考回路に急停止を強制的にかけ、人のまばらなキチケットを出ようとした。声をかけられた。
「あれ、もしかしてタツミ君?」
振り返ると、一人の女の子が立っていた。長い黒髪、緑のワンピース。黒の光沢のあるブーツを履いた彼女は、どこかこの場にそぐわないような……。
ニコニコと笑顔で見つめてくるのに気づき、何か答えなければと僕は口を開いた。
「ごめん、どこかで会ったことあったっけ?」
その言葉を聞くなり、彼女は悲しそうに眉根をよせる。
「そっか……そうだよね。ごめんね、何でもないの」
そう言って彼女は俯いてしまう。どうしよう、何も思い出せない。手がかりはないだろうか? 何か――。
ふと、彼が抱きかかえている小冊子が目に留まった。
彼女の後ろにいた彼。彼が持っていた小冊子は緑色をしていた。気づけば周りの人々全員が緑色の服を着ていた。
その瞬間思い出す。僕は絶対的現実主義組織『NF』と戦う緑色軍団『キチケット』の一員であることに。
(11月22日―完―)
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