どうも,しっちーです.
24歳,学生です.24歳学生になりました.とても感慨深いです.正直,これを言った時点で私の書くべきことは9割くらい書き終わっていますし
[1],私の人生の意味も9割くらい果たされていると思うのですが,まあここで記事を終えるのもあれなので,なにかをちょっとだけ書いておくことにしましょう.
三つの価値 趣味絵の世界ではよく,「ただ自分のために,自分の好きな絵を描けばいい」とよく言われています.趣味なのだから,誰の目も気にせず,人からの評価も気にせず,自分らしくあってよいのだと.私もまあそんな感じで自分のために絵を描くわけですが,世の中にはイラストレータのように人のために絵を描く人もいれば,美大受験生のように画力を積みまくる人たちもいます(偏見).
あなたは何のために絵を描くのでしょうか.これを考えるために,作品の価値を三つに分けてみると面白いのではないかと思います.ちなみにこの話,絵描きだけでなく創作者全般に適用できると思います.
(1) 独善的価値: 一言でいうならば「個性」.自分は価値を見出しているが,他者が必ずしも価値を見出すとは限らないもの.自分自身の好み.自分らしさそのもの.
(2) 普遍的価値: 一言でいうならば「画力」.自分にとっても,他者にとっても──すなわち,万人が共通して価値を見出すもの.リアリティ,作画崩壊のなさ,作品の投稿頻度など.
(3) 流行価値: 自分は必ずしも価値を見出さないが,世間が価値を見出しているもの.流行しているアニメやゲーム,あるいは流行の絵柄・作風など.
誰のために描くのか? さて,どうでしょう.あなたは,自分の個性をどのくらい重視して,画力をどの程度重視して,流行をどの程度重視しますか.あなたの絵は,独善的価値が何%で,普遍的価値が何%で,流行価値が何%でしょうか.私にとっては自分の好みを曲げて流行に合わせてやることなんざ拷問でしかないので,流行価値が0%であることは確かです.私の絵は,独善的価値が50%,普遍的価値が50%くらいでしょうか.
この配分について,色々なタイプを考えることができます.きっと絶対的に正しい配分はありません.あなたは,以下のどのタイプでしょうか.どのタイプの絵描きになりたいと思いますか.
(1) 独善的価値タイプ 独善的価値がほぼ100%,その他がほぼ0%という,自分らしさを徹底的に追及し,それを真っ直ぐ表現する非常に稀なタイプです.ぱっと思いつくのが(失礼ながら)ピカソみたい絵ですが,ピカソはピカソで画力を極めつくしたその先にあの画風を持っているわけで,画力はむしろカンストしており,難しいところです.いわゆる「ヘタウマ」がここに分類される気がしますが,人間のメンタルの強さの制約上,現実的には存在しないタイプなのかもしれません.普遍的価値が0%に近いので世間的には下手と言われ続けますが,その独特にして奇妙な画風は刺さる人には強烈に刺さります.
(2) 普遍的価値タイプ 普遍的価値がほぼ100%,その他がほぼ0%のタイプです.偏見ですが,美大受験生とかが当てはまりそうな気がしています.ここから個性を追求することも流行を追求することもできて,何にでもなれる強みを持ったタイプです.他者からの評価も中々高いでしょう.
(3) 流行価値タイプ 流行価値がほぼ100%,その他がほぼ0%のタイプです.完全なる無個性も完全なる無画力もないでしょうから,多分そこまで極端な人はいなくて,現実的には10%-10%-80%みたいな人がいそうです.流行というのは何も世間全体の話だけではなくて,自分のいる集団や年齢層にうけるものが描ければ十分に流行価値があると言えるでしょう.私と完全に真逆のタイプなので,どんな人なのかは私にはあまり想像がつきませんが,ミーハーみたいなイメージでしょうか.画力はあまりないでしょうが仲間に恵まれるはずです.
(4) 独善的価値+普遍的価値タイプ 流行を嫌うストイックなタイプともいえるでしょう.趣味で絵を描いている人のうち,目立って個性の強い人という感じでしょうか.画力に比してあまり世間的な評価は高くなく,twitterではフォロワー数が少なめでしょう.私はこのタイプ(になろうとした出来損ない)といえます.
(5) 普遍的価値+流行価値タイプ イラストレーターと呼ばれる人はほぼここに入るのではないかと思います.twitterではしばしば万単位のフォロワーに恵まれ,評価は非常に高いでしょうし,相応の実力もある強力なタイプです.もちろん,イラストレーターとして完全に無個性な絵柄というのは存在しないので,現実的には10%-50%-40%みたいな配分になるでしょう.
(6) 独善的価値+流行価値タイプ 流石にこんな人はまず存在しないでしょう.自分の好きなものや自分の美的感覚と,世間的な流行・美的感覚には差がありますが,その対立をどうやって埋めるのでしょうか.要は目指すべき方向性,美醜の基準そのものが決まらないのでこのタイプは存在しないはずです.
(7) 独善的価値+普遍的価値+流行価値タイプ おそらく全ての絵描きの中で最も大きな割合を占めるであろう,ごく普通のタイプです.普通としか言いようがありません.ただ,私の独断と偏見で世間的な平均値を予想するならば,20%-40%-40%くらいな気がしますし,33%-33%-33%というのはちょっと個性的寄りなのではないかと思います.
おわりに これは個人が「何を重視するか」というだけの話であり,実際のその人の能力値とは別の話です.例えば,私が個性と画力をそれぞれ50%の配点で重視するからといって,私の能力値がたとえば個性値100,画力値100,流行値0だというわけではありません.私は画力向上のために楽しくない鍛錬を積み続けるのが嫌いなので画力値は上がってないでしょうし,私の絵柄や作風も5%くらい世間的な流行と一致しているでしょうから,私の能力値は個性値100,画力値50,流行値5みたいな感じになると思います.
あなたはどのタイプの絵描きになりたいと思いますか.どの能力値にリソースを振りたいと思いますか.その辺りを明確にしてみると,絵を描く目的が明確になって,なんというか,なんかいいことがあるかもしれません.
[1] これをやりたいがために,私が自分の誕生日に合わせて12月中旬のブログ担当を確保しておいたことは,もはや言うまでもない.
なお,この記事はしっちーのブログの
こ↑こ↓から絵描きの心の闇を取り除いてマイルドにしたものである.