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進化心理学の話

 こんにちは、double quarterです。

 突然ですが私は最近進化心理学という考え方にはまっています。ということで今回のテーマは進化心理学です。あたかじめ言っておくと、進化心理学の考え方には批判もありますのであまり鵜呑みにせず、あくまで私が最近考えたこと、ということでお許しください。(ネットで調べた程度の知識と自分で考えたことが混じっているのでお気をつけください)

 進化心理学とは大雑把に言えば、人の心理的な傾向が進化によって形づくられているという考え方のことです。定義は色々あるみたいですが、今回の話ではざっくりこのくらいの意味で取り扱います。

 具体例は色々ありますが、本能に近く進化の影響を受けやすい部分として恋愛についての話を取り上げましょう。
人は遺伝子的に遠い人のことを好きになりやすいという話を聞いたことはないでしょうか。これは遺伝的に近い交配が起こると不利な劣性形質(今は潜性形質と言うらしいですね)が遺伝しやすくなり、結果的に子孫を残しにくくなることによります。これは遺伝の仕組みと強く結びついているので進化との関係がわかりやすい例ですね。
ルックスで人を選ぶ際も、人に好まれるルックスというものにはある程度普遍的な傾向があります。これは卵が先か鶏が先かみたいな話になるのですが、進化心理学的に説明がつきます。人には普遍的な美醜感覚が備わっており、それにより良いルックスを持っている人が優秀な遺伝子を持つ人と交配することができ、子孫は生存に有利になるという仕組みになっていると考えれば納得が行きます。(このシステムは人間以外の一部の動物にも見られるものです。鳥の間で結構飾り羽根の綺麗さで優劣がつくのが一例ですね) もし美醜感覚があまりにも人それぞれだったらこのシステムは破綻し、乱雑な交配が起こることでしょう。
 逆に好まれない例を挙げると、皮膚疾患などは悪い印象を与えやすく、時には感染性に関わらず人を遠ざけてしまうこともあります。恋愛に限らず、初対面の人の印象としても影響があるでしょう。これも進化心理学で説明できます。天然痘という病気を知っている方も多いでしょう。天然痘を発症すると顔や身体にできものが大量にできます。他にも強い致死性を持つ病気として皮膚疾患が症状の一つである病気は古くからいくつもあったのでしょう。こうした重大な病気を避けるために、皮膚疾患を持つ人を避けるように進化的な圧力がかかったと考えられます。

 さてまたルックスに関わる話題になってしまうのですが、世の中には高身長男性を優遇する傾向があります。私は身長が低いのでその辺はついつい意識してしまうのですが、どうやら低身長より高身長が良いものとする傾向は人類に普遍的なようです。これは男性は体格が大きければそれだけ力も強く体力もあり、労働に適していたということの表れと理解できるでしょう。
 同性に対する嫉妬という観点ではまた面白い研究結果があります。
 “魅力があり、肉体的に優位で、社会的に力を持つライヴァルに対してもっとも不安を感じていた男性は、自分たちの身長が高ければ高いほど、嫉妬を感じにくかった。(Short men are the jealous type, March 13, 2008)” この結果は言ってしまえば自己肯定感に身長という要素が有意に関わってきているということです。身長という一見無関係な要素が心理に大きく影響を与えていることがはっきりしていて驚きです。
 “この研究では、ほとんどの女性は他の女性の身体的魅力に嫉妬を感じていたが、中ぐらいの身長の持ち主はほとんど嫉妬を感じにくかった。(Your height dictates how jealousy strikes, Universities of Groningen and Valencia, March 13, 2008)” この結果は男性の例に対して非自明に思えます。これについては、” 平均的な身長の女性はもっとも繁殖力が強く健康的な傾向にあるから、似た特徴を持つ女性に対して脅威を感じにくい傾向にあった。(Short men 'are the most jealous’, March 12, 2008)”という仮説があります。性役割的な話になりこの辺は昨今センシティブなので少し怖いですね。ただ生物としての進化に対する人類社会の発展の勢いを考えれば、進化が時代に追いつかないということはもっともだと思います。“時代遅れ”な考え方が遺伝的に残るのも納得です。
 他にもいくつか例はありますが、これだけ見ても身長は他者への印象を大きく左右するということがわかります。

 しかし実際問題人の意志決定を考えてみると、当然遺伝的な要素だけでなく後天的な要素も大きく関わってくるでしょう。これについては遺伝子で決まり、それについては後天的に学習する、という感じに分けられるものでもありません。どちらも欠かせない要因です。ですから社会的、環境的要因を無視するべきではなく、また進化心理学的な要因も当然考慮すべきだと思います。
 過去はこうだったが現在は違うだとか、人間には理性があるから意識改革をすれば差別を改善できるという素朴な考えに反して、我々の行動や思考における無意識や本能の占める割合というのは驚くほど大きいものです。人間の進化及び進化で獲得された心理というものを蔑ろにしていてはきっとどこかで他者理解の壁に突き当たってしまうことでしょう。人間の理性、論理性への信頼を一度忘れてみると面白いことに気づけるかもしれません。

Edit 22:56 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

 

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