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奇山流、物語の作り方 初級編


というわけで初級編「起承転結」です。

前回(三月中旬ぐらい?)に書いた下準備を終えている前提です。

前回から変わらず、絵描きの方の暇潰し、あるいは字書き勢の気分転換程度になれば。


さて。

いわゆる創作という分野に携わる人間が集まる未定ですが、創作に興味が無い人でも、おそらく「起承転結」ぐらいは聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

物語や話、作文は起承転結を纏めろ、とか言われたりします。

ただ、聞いたことはあっても実際それがどんなものなのか、どういう風に使えば話を作るのに役立つのかというと、首を捻る人が多いんじゃないでしょうか。

ということで、今回は「起承転結」の使い方です。
とりあえず物語作り初心者を想定しているので、なるべく機械的、体系的な方法を紹介します。
これに従って並べていけば一通り物語ができるよ、みたいな。

まずはざっくりと、「起承転結」とは何か。
「起承転結」は物語全体の流れを大まかに四つに分類して考えたものです。それぞれの部分に役割を与えることで、物語を書きやすくしようというものですね。それぞれどんなものかと言うと、

起:物語の始まり。なぜ主人公がその物語を歩むことになったのか、そのきっかけを提示する。
承:世界観の説明。起を受けて発展する。
転:起、承の流れを変える。物語の山場となる事件の発生。
結:物語の終わり。主人公が物語の結果、どこに到達したのか、どのように成長したのか、目的を達したのかを示す。

といったかんじでしょうか。
まぁこれに関してはネットを漁るなりハウツー本を読むなりすれば結構いろんなとこに書いてあると思います。
おそらく、なんとなくの雰囲気はつかめるのではないでしょうか。

さて、この起承転結の説明を見てもうお分かりかと思いますが、前回の下準備がほぼそのまま当てはまる場所があります。
前回の番号でいくと、1→結、2、3→起、4→転 ですね。
最初の状況、動機→壁→解決、です。

では、「承」とは何か。

さっき書きましたが、簡単に言うと「設定説明」が物語の「承」の役割になります。
とはいえ、だらだら設定だけを垂れ流されると読むのが辛いので、そこも一応物語調に仕立てるわけですね。
で、ここが結構めんどうくさい。
簡単に言うと、ここは「物語が盛り上がるための下準備」をひたすらする場所なのですが、そこって案外何を書けばいいのかわからないのです。

例えば、起「ある青年科学者が研究の末美少女アンドロイドを作り出した!」転「恋に落ちる科学者とアンドロイド。しかし、アンドロイドの少女は自分が人間でないことにコンプレックスを抱き始め…」結「青年は自身をロボットへと改造することに成功する。永遠の存在となった二人は人里を離れ、ひっそりと暮らしている――」みたいな話を考えたとします。

「承」の部分に何を書けばいいか。
例えば、その世界ではアンドロイドは普通の存在なのか否か。世界は普通の現代なのか、あるいは近未来なのか、それとも異世界現代なのか。アンドロイドはどういう仕様なのか。感情はあるのかないのか。周囲の反応は。科学者の名誉や地位は。科学者の暮らしは。アンドロイドの動力は。
などという設定を詰め込んでいくわけです。

で、これを物語調に仕立てることになります。
どんなかんじの物語にすればいいのか。

前回の下準備の際に、「物語のくびれを作る」のところで、「それまで順調に進んでいた物語が――」という書き方をしたと思います。

そう、「承」の部分で描くのは、「順調に進んでいる」部分の物語となるわけです。
そしておそらく、それは「転」を作った際に半分ぐらい頭に浮かんでいます。

例えばさっきの例だと、出来上がったアンドロイドが科学者と恋に落ちる過程を描くことになるわけです。

…まぁ、そう言われてひょいと具体例を出せるなら苦労はしませんが。
「アンドロイドが科学者と順調に仲良くなるところ書いて」といわれても、たぶん「えっ?」となって終わりです。筆は進みません。ぱっと内容が浮かばないからです。

なぜ「承」の部分だけ内容が浮かばないのか。
転→結にいたる部分というのはたいていの場合作者が一番書きたいところなので、誰だってそれなりに考え付くのですが、そこに至るまでの過程は別に作者にとって大して思い入れの無い部分なのです。簡単に言うと、別にそこは妄想しても楽しくないから誰も考えない。
そして、考えない割りに恐ろしく選択肢の幅が広い。どんな可能性だって有り得るのです。

結果、書けない。

物語の冒頭を書いては消しを繰り返してしまう人は、多分ここで引っかかっています。
とりあえず起と転と結が決まった。物語の要所が決まったから書き出す。
起は書けた。物語が動き出した。
――そして、次に何を書いていいかわからない。

こうかな、とちょっと書いてみては、でもこれじゃああのシーン(転→結にあたる、いわゆる見せ場)には遠いな、と消す。こっちか、とまた書いては、これだと不自然だな、と消す。

辛く苦しい負のプロットタイムですね。

じゃあ、どうすればいいのか。

答えは「動機」です。
さっきも言いましたが、「承」は「順調に進んでいる」シーンなのです。一番最初の主人公のモチベーションが達成されていくシーンなのです。

先ほどのアンドロイド少女の例で行きましょう。科学者の動機をまだ決めていませんでした。

例えば「純粋にロボット工学の発展に興味があった」という動機で科学者がアンドロイドを生み出したのだとしましょう。
それなら、科学者は出来上がったアンドロイドに対して、なにかしらの実験をするかもしれません。おそらく彼女に対しては実験対象として以上の興味は最初は無いでしょうから、扱いも適当でしょう。日々、無機質に実験室と研究室を行き来するだけの二人かもしれません。
これでは恋心など生まれない? いやいや。例えば、研究に明け暮れる科学者は孤独かもしれません。あるとき寝落ちしてしまった彼にそっと毛布を掛けてあげるアンドロイドの姿があるかもしれません。あるいは、感情のテストとして二人でいろいろなことをする内に特殊な感情が芽生えるのかもしれません。

例えば、「アンドロイド少女萌えの変態科学者だった」という動機だとしましょう。
当然科学者はアンドロイド少女の完成に狂喜乱舞し、彼女に猛烈にアプローチをかけるでしょう。最初は上手く感情というものを解せない少女は羞恥心やらなにやらを理解できず、自分に親切にする科学者に素直に好意を抱くかもしれません。あるいは、少女のことを「所詮機械だ」などと言った他人に対し、科学者が激昂するシーンがあるかもしれません。

まぁ、このあたりになればもう完全に作者の好みですが。
とにかく、「動機」という方向を忘れずにいれば、何もないよりは多少簡単にこの部分を越えることができるはずです。

ついでに言うと、いわゆるアニメやゲームの「日常パート」というのがこの「承」の部分に当たります。

基本的には、各キャラの過去や信念を匂わせつつ、みんなが仲良くなっていく、というパートになることが多いかもしれません。

自分が書きたいストーリーに類似した作品の「日常パート」がどんなものだったかを思い出すのもいいと思います。


さて。
起承転結、その全てが揃いました。

これで書ける! 初級編、完――



…とは残念ながらなりません。

起「ある、アンドロイド萌えの変態青年科学者が研究の末美少女アンドロイドを作り出した!」
承「感情が上手く理解できないアンドロイド。科学者の熱烈なアピールは空回りしていたが、あるとき彼女を「機械だ」と言った人間に対し本気の怒りを見せた彼の姿に、アンドロイドの少女は感情の芽生えを感じる」
転「恋に落ちる科学者とアンドロイド。しかし、アンドロイドの少女は自分が人間でないことにコンプレックスを抱き始め…」
結「青年は自身をロボットへと改造することに成功する。永遠の存在となった二人は人里を離れ、ひっそりと暮らしている――」

…書けますか。
たぶん無理だと思います。

いや、ぶっちゃけると俺や美崎みたくある程度慣れてくればこの辺りから必要な要素を考え出して必要な場面を繋ぎ合わせて物語を構築できるのですが、多分そんなやつはそもそもこれを真面目に読む必要は無いでしょう。

この状態では、そもそも書き出しをどんな場面にすればいいのかさえ思いつきませんし、どういう風に場面を発展させていけばいいのか分かりません。

「承」のところでもそうでしたが、「書けること」の範囲が広すぎるのです。

また具体例を元に話を進めるのですが、いつまでもアンドロイドで行くと内容が偏るので、今度はファンタジーで行きたいと思います。

起:ある日突然異世界召喚された平凡な高校生の主人公。異世界では彼は勇者であり、魔王を倒す使命を帯びていた。そのことを知った主人公は旅に出る。
承:仲間を増やしつつ、魔王に占領されていた町を開放していく主人公一行。魔王配下の四天王をも倒していく。
転:ついに辿り着いた魔王城。しかし魔王の力は段違いで、主人公一行はみな瀕死に。
結:しかし、輝き始める主人公の身体。いままで助けてきた人々の声が、祈りが、彼に力を与えていく。そして放たれた必殺の一撃は、魔王を打ち破った。

ぐらいでどうでしょう。
そこそこ丁寧に起承転結が書いてありますが、それにしたってこれを元にいきなり文章として起こすのは不可能です。

そこで、更に「起承転結」を使います。

起:ある日突然異世界~を、さらに起承転結に分けるのです。
起の起、起の承、起の転、気の結、承の起、承の承、承の転……といったかんじに。

「起」を一つの物語と見るのです。
すると、ゴールは、「魔王を倒す旅に出る」。スタートは「主人公、異世界召喚される」。くびれは「自分が勇者だということを否定していた主人公が、襲ってきた魔物との戦いを通して勇者としての使命を受け入れる」とかになるでしょうか。
すると、

起の起:主人公、異世界に召喚される。
起の承:主人公、異世界の住人に自分が勇者であると言われるも、こんな非現実的なこと有り得ないと否定。
起の転:突如襲い来る魔物の軍勢。主人公は眠っていた勇者の力でこれを撃退。
起の結:自分に眠る力と、魔物の残虐な行為を目の当たりにした主人公、魔王討伐の旅に出る決意をする。

などと更に細かい起承転結が出来上がります。

さて、書けますか。
まだ無理ですか。

ならば、更に起承転結に分けましょう。

起の起:主人公、異世界に召喚される。ゴールは「異世界に召喚されたことを認識する」スタートは「平凡な高校生の主人公」くびれは「普通の高校生活を送っていたある日突然、異世界に召喚される」

起の起の起:主人公、モノローグ(独白)と共に登校。普通の高校生っぽいことを考えたりしたり。
起の起の承:主人公、学校でクラスメートと会話。幼馴染がいたり。周りからの評価を通して、主人公が正義感が強いなどと示しておくと後で便利かも。
起の起の転:突如主人公の足元に出現した、紅く輝く魔法陣。それに呑まれる主人公。
起の起の結:目を開けるとそこは荘厳な教会。目の前には神官らしき少女。そして主人公は、ここが異世界であると知る。

そろそろ書けますか。

起の起の起:主人公、登校する。ゴールは「学校に着く」スタートは「朝起きて家を出る」くびれは…「登校中に人助け」

起の起の起の起:差し込む日差しと鳴る目覚まし。主人公、目覚ましを止める。
起の起の起の承:「ち、遅刻だぁぁあああ!」慌てて家を飛び出す主人公。
起の起の起の転:しかし途中で道に迷っているおばあちゃんを発見。助けていたら遅刻確定。
起の起の起の結:おばあちゃんを助け、主人公遅刻。先生に怒られ、幼馴染からは呆れられる。

こういうかんじです。
ここまでいけば書けるでしょう。

これを繰り返せば、物語の細部までが、起承転結の分け方でできあがっていきます。

慣れないうちはかなりしんどい作業ですが、慣れてくると特に何も考えなくても物語を起承転結で構成するようになっていきます。

まぁかなり極端な例ではありますが、どうしても書けないというときは一回こんな風に考えてみるのもありなんじゃないでしょうか。

長くなりました。
今回はこのあたりで失礼します。

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