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 京大公認創作サークル「名称未定」の公式ブログです。
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読書感想文は年を取ってからその重要性に気付ける

 さあ、私は流れをぶった切る!創作論、私にはまったくできない!ただ人の心を(ネガティブな方向に)揺り動かしたい、だけしか考えてませんからね!……だから矛盾が生じるのです(泣)


 では、読んだ本の話にいく……前に、ちょっとした余談を。

 私の作品を読めば多くの人が察してくださることと思いますが、やたらと黒いということがお分かりいただけるかと思います。そこから生じ得る疑問に、こいつの嗜好は狂っているんじゃないか?というものがあるのではないでしょうか。

 ヤダナークルッテルワケナイジャナイデスカー
 ……多分歪んでます、はい。私はどす黒いのが好きです。後味悪いとか、むごいとか、そんな作品は読んでいて楽しいですね。最近の小説も、過去の小説も、王道はハッピーであることが多い。大衆受けするのはあらかたハッピーエンド、あるいは感動ものでしょう。
 ……それは、私にはあまり面白くありません。例外的なものもありますが、それもキャラクターの絶望具合、あるいは逡巡が興味深いものだけです。
 私は安易な幸せが嫌いなのです。死ぬほどの絶望を味わって初めて幸せになるべきだとすら思っています。さもなくば不幸になれ。


 では本題に。つい先日読みましたのは、ジャック・ケッチャム氏の《隣の家の少女》です。これがなかなか面白い。主人公はろくに闘わず、最後にほんの少し闘っただけで結局彼は何も救えなかった。
 何回も少女メグを救える機会があったのに、その場に流されて勇気を奮うこともできなかったばかりに、彼は自分の好きな人を取り返せなくなった。
 しかし私は、この作品ではまだ甘いと思いました。この作品で覚えたのは【メタ的な無力感】で、それ以上のものはなかったのです。残虐性ならもっと良いものがあります。例えばイェジー・コシンスキ氏の《ペインティッド・バード》。はたまた人間の醜さを知りたいならば、別の作品を読むのが良いでしょう。と言うのも、最たる狂気を孕んだ拷問が読めないのです。その瞬間は藪の中……。


 人の心を破壊、いや蹂躙する作品を、私はまだ一つしか知りません。私の知る限りでは、《家畜人ヤプー》のみです。尤もこれも、昔に読んだから影響が強いように見えるのではないかとも思いますが。

 人間の絶対支配ってどうすれば良いでしょう?拷問?人質?脅迫?……違います、これでは人は反抗する。宗教?……近いですね、しかしもう少し、直接的にやれます。
 答えは『思考の改竄』一択です。人間は思考に依存した生き物ですので、そこを一寸書き換えてやれば傀儡の完成なのであります。人間が持ってはいけなかった感情である、盲信もとい崇拝を強要するのです。脳に直接。コミュニストによる洗脳も、それを考えれば適切なのです。
 そしてこの作品では主人公の思考が、少しずつ凌辱されます。本当に、この言葉が適切なのです。《思考の凌辱》。ヒロインは早いうちに思考を崩壊させられます。主人公は堪えていたのですが、とうとう喪失。家畜となってしまう……。
 薬物、環境、言葉……。そんなものによって自分の常識が蹂躙されて、新たな邪悪なる知識が流れ込んでくる。うわあと叫んでももう遅い。自分の脳内は、少しずつ、少しずつ、少しずつ少しずつ、少しずつ少しずつ少しずつ少しずつ、侵食されていきます。そう、今までの自分が見ていたものは、ゲンソウだったのです!ああ、私は知らなかった、世界とは斯様なものだったのか!

 主人公麟一郎がリンへと転じてしまうまでの、あまりに苛烈な道。日本人だからかも知れないが、その脳髄に刻み込まれた感覚は、なかなか取れそうもありません。


 私の脳髄に染み付くのは、名著とは違い、毒のある本のようです

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