最強無敵? 図書委員会! #1
最強無敵? 図書委員会! #1
すぐそこ、図書室(1)
すぐそこ、図書室(1)
WEB小説を読む時は、部屋を明るくして部屋を明るくして読むようにしましょう。
図書委員長との約束ですよ?
池垣高校南館。日当たりの良い南側二階に伸びた廊下を西へ向けて真っ直ぐ進んでいくと、突き当たりにその部屋はある。
柔らかな日差しを受けて落ち着いた色合いの木製の扉が堂々と鎮座している。
静謐と言うよりは駘蕩と言った方が合っている。
しんと静まった空気ではなく小鳥のさえずりでも聞こえてきそうな、そんな昼下がり。
常葉恭介が手をかけた扉は、すっと音もなくスライドした。
ふわりと漂ってくる紙の匂いと微かな人の気配。
昼休みの喧噪からは確かに隔離されたその場所の名は図書室。池垣高校の蔵書を管理する情報施設であると同時に、恭介たち図書委員の治める唯一にして無二の領地であった。
カウンターには恭介よりも一足先に来ていたのだろう。艶やかな黒髪を持った女生徒が既に座っており、貸し出しカードの束を整理していた。
「おはようございます、天川さん」
「あら、おそようございます、常葉君」
恭介の方をちらりと一瞥した女生徒――天川天理は、顔に掛かる髪の毛を払うような仕草を見せ、艶やかに微笑んだ。
腰まで伸ばされたつややかな黒髪は図書室内の柔らかな光に照らされてしっとりと濡れたように輝いている。凛と大和撫子を体現したようなその姿と落ち着きは恭介よりも年上のように見えるが、その実二人は同じ一年生で、更に言うならば同じクラス。すなわち同級生であった。
同じ授業を受けていたはずなので四時間目の終業時刻に違いがあったはずはない。だが、天理はこうして恭介よりも幾分か早く図書室へ赴いている。恭介自身、一体いつの間に天理が来ていたのか不思議に思う。四時間目の終わりには確かに教室にいたのだが、一体いつの間にいなくなっていたのか、てんで記憶にない。
二人の図書室へ来た時間の差は単純にお昼ご飯を片付けるその時間差と言うことになる。となると恭介は女生徒よりもお昼ご飯を食べるのが遅い男子生徒となってしまうわけで……。
などと下らないことに思考を飛ばしていると、天理がこちらをあきれ顔で見ているのに気付いた。
「えっと……僕の顔に何かついてる?」
「いえ。ただ、私のことを呼ぶ時は天理と呼んでくださればいいと、以前申しましたのに」
「ああ、そのこと……」
良いながら、恭介は頬を掻く。
確かに。以前図書委員選出の折りに、同じクラスから同じ委員会になるのも何かの縁だから下の名前で呼んでくれればいいというようなことを懇切丁寧な言葉を尽くされて説明されたような気もする。
「んっとさ、恥ずかしい、じゃん?」
「恥ずかしい、ですか? 私の名前を呼ぶことがですか?」
「あー……、えっと、うん、まあ」
「何故ですか? 私の名前に何か問題でもあるんですか?」
酷く不思議そうな表情でそう訊ねてくる天理。
こんな風に純粋に感情を前面に出されて、前述の通りに容姿端麗な大和撫子から下の名前を呼んで良いという許可を直々に貰って、嬉しくない男がいるだろうか、いやいない(反語)。
だが、悲しいかな恭介にはそのハードルはいささか高すぎたらしい。
「いや、そうじゃなくってさ……、んーっと、そうだ。そう言う話なら、天川さんだってそうじゃない。僕に対して敬語を使わないようにしてって言ったのに」
「それは……その……」
それまでのすっぱりとした物言いが突如としてもじもじと言い淀み、天理は視線を明後日の方向へと向ける。
そして、思いついたようにこんなことを言った。
「ほら、その、はしたないじゃないですか! 他人様に対して無礼な物言いをする様な躾、この天理、受けておりません」
「つまり、天川さんにとって他人に敬語を使うって言うのは常識なわけだ」
「無論です」
自分を武装できる理論を見つけた途端に竹を割ったようなすっぱりした物言いが戻ってくる天理。
そんな彼女の様子に小さな笑みを浮かべ、恭介は人差し指をぴっと立てた。
そう。恭介からすればまさにその論理こそを、彼女の中から引き出したかった。
「じゃあ、僕のもそれと一緒。って言ったら判って貰えるかな?」
「一緒……ですか?」
「そう。要するに、僕の中では女の子を名字で呼ぶのは常識なの。でも天川さんにとってはそうじゃないんだよね。だけど、逆に僕にとっては他人に敬語を使うのは常識とは言えない……、まあ同級生相手って限定させて貰うけどね」
「えっと……なんとなく、話はわからないでもありません」
「そう簡単には変えられないんだよ。天川さんが他人に敬語を使わずにはいられないように、ね」
「んー……、狐に摘まれたみたいな感じです」
「そうは言っても、天川さんだって自分で言ってたじゃない。常識だって」
「それは……、そうなんですけど」
なおも納得がいかない様子の天理に対して恭介は、返却されたが未だに元の位置には返されていない本が置かれている返却棚から、一冊の本をひょいと取りあげる。
天理の方へ向けられた新書のその表紙には、安っぽく古くさいデザインで「ニッポン人の常識95」と書かれていた。
「実際、この本にも書かれている。『人の数だけ常識がある。人の数だけ夢がある』ってね」
勿論真っ赤な嘘だった。
恭介はこの本は読んだことがない。本に書かれている、という程度の説得力を出さないと天理が納得してくれそうになかったので、単にそれっぽいタイトルの一冊を抜き出して、適当に言ってみただけだ。
が、この策、効果は覿面だったらしい。
天理が真っ黒な瞳を大きく見開き、恭介の手の中の新書をじっと見つめている。
「まあ、そんな素晴らしい言葉が!? 今度私もその本を読んでみましょうかしら」
「あー……、それはしなくてもいいんじゃない? これ以外はろくなこと書いてなかったし」
「そう、ですか? それは少し残念ですね。でも……」
なおも食い下がろうとする天理に、恭介は少し慌てて自分の貸し出しカードを探してくる。一瞬の早業。図書委員をやっているが故の特殊技能か。
本とカードをセットにし、天理へと差し出す。
「ほら、えっと、実は僕、もう一度借りて読みたいと思ってたんだ。だから天川さんには退いて貰えるととっても嬉しかったり……なんかするんだけど?」
「あら、そうだったんですか! ならそうと早く言って下さればよかったのに。読み終わったら是非教えて下さいね?」
「あ、うん、覚えてたらね」
天理に恭介の返却が伝えられることは、恐らく永久にないだろう。
天理は恭介から本とカードを受け取ると、カウンター内に外からは殆ど見えないように設置されている電子掲示板、そこから伸びているバーコードリーダーをカードと本にあてる。
ピッ、という小気味よい音と共に、カウンター内ならば「貸し出し完了」の文字が掲示板に浮かぶのが見えただろう。
彼女が手早く貸し出し手続きをしてくれた「ニッポン人の常識95」を鞄にしまう。
おかしい……こんなことをしに来たはずではなかったはずだ。というかむしろ恭介は図書委員で、今日の当番で、彼自身こそが貸し出し手続きをする側であったはずだ。
なのに何故に相方の仕事を増やしてにこにこ顔で冷や汗を掻きながら読みたくもない本を鞄の中へしまっているのだろうか。
何故?
「いや、そうじゃない。仕事だ」
「仕事……ですか? でも、今は幸いあんまりお仕事は無いみたいですけれども……」
そう言って、天理がカウンターの中から図書室を見渡す。
恭介も、カウンターの外から体を捻って図書室を見渡す。
成る程、図書室内には生徒の姿はまばら。何名かいる生徒もなにやら机の上でノートを広げて取り込み中であるらしく、本を借りようという生徒は殆ど見受けられない。
既に昼休みも半ば過ぎ、あと少しで昼の終わりを告げる予鈴も鳴ろうという頃。
折角の昼休みに図書室があまり利用されていないのには一抹の寂しさを感じないでもないが、確かに今日のお客は少ないらしい。
「でも、仕事しないわけにはいかないじゃん」
「それはそうですね。午前中の貸し借りの整理は先ほど既に済みましたが」
「……来るのが遅くて済みません」
「いえいえ」
そんな会話を交わしながら、恭介もカウンターの中へと入る。
この中に入れば恭介もまたいち図書委員として働く身。学生証と反応してカウンター内に掛けられた恭介の名札が勤務中を示す緑色に光る。
が、それだけ。
先ほど確認したように本日の昼休み業務は殆ど無いに等しい。
後は適当に時間を潰しながら昼休憩をカウンター内で過ごし、恐らく予鈴直前に来るだろう数名の借り出し客の対応をすれば、ミッションコンプリート。
そのはずだった。
それが聞こえたのは予鈴が鳴った約一分後のことだった。
昼休みのお客を捌き終え、図書室内に残っているのは既に天理と恭介の二人のみ。二人も自分の荷物をまとめて教室へ戻らなければならない。そんなタイミングだった。
カウンター内にいる二人にだけ聞こえるような、そんな微妙で絶妙な音量の、モスキート音。
脳みそを引っ掻くようなきぃんという音が鼓膜を揺らし、その発令を報せる。
咄嗟に二人共がカウンター内の電子掲示板に目をやる。
いつもは手続きに応じて貸し出しのステータスなどを表示している掲示板。
そこには、黒字に黄色という警戒色満点の色遣いでこんな文字が浮かんでいた。
《CASE1発生》
《当番図書委員は放課後業務を遂行せよ》
天理の方を見る。彼女も、掲示板から視線を上げ、こちらに緊張した表情を向けていた。
二人して、こくりと小さく頷く。
ミッション、スタートだった。
《続く》
柔らかな日差しを受けて落ち着いた色合いの木製の扉が堂々と鎮座している。
静謐と言うよりは駘蕩と言った方が合っている。
しんと静まった空気ではなく小鳥のさえずりでも聞こえてきそうな、そんな昼下がり。
常葉恭介が手をかけた扉は、すっと音もなくスライドした。
ふわりと漂ってくる紙の匂いと微かな人の気配。
昼休みの喧噪からは確かに隔離されたその場所の名は図書室。池垣高校の蔵書を管理する情報施設であると同時に、恭介たち図書委員の治める唯一にして無二の領地であった。
カウンターには恭介よりも一足先に来ていたのだろう。艶やかな黒髪を持った女生徒が既に座っており、貸し出しカードの束を整理していた。
「おはようございます、天川さん」
「あら、おそようございます、常葉君」
恭介の方をちらりと一瞥した女生徒――天川天理は、顔に掛かる髪の毛を払うような仕草を見せ、艶やかに微笑んだ。
腰まで伸ばされたつややかな黒髪は図書室内の柔らかな光に照らされてしっとりと濡れたように輝いている。凛と大和撫子を体現したようなその姿と落ち着きは恭介よりも年上のように見えるが、その実二人は同じ一年生で、更に言うならば同じクラス。すなわち同級生であった。
同じ授業を受けていたはずなので四時間目の終業時刻に違いがあったはずはない。だが、天理はこうして恭介よりも幾分か早く図書室へ赴いている。恭介自身、一体いつの間に天理が来ていたのか不思議に思う。四時間目の終わりには確かに教室にいたのだが、一体いつの間にいなくなっていたのか、てんで記憶にない。
二人の図書室へ来た時間の差は単純にお昼ご飯を片付けるその時間差と言うことになる。となると恭介は女生徒よりもお昼ご飯を食べるのが遅い男子生徒となってしまうわけで……。
などと下らないことに思考を飛ばしていると、天理がこちらをあきれ顔で見ているのに気付いた。
「えっと……僕の顔に何かついてる?」
「いえ。ただ、私のことを呼ぶ時は天理と呼んでくださればいいと、以前申しましたのに」
「ああ、そのこと……」
良いながら、恭介は頬を掻く。
確かに。以前図書委員選出の折りに、同じクラスから同じ委員会になるのも何かの縁だから下の名前で呼んでくれればいいというようなことを懇切丁寧な言葉を尽くされて説明されたような気もする。
「んっとさ、恥ずかしい、じゃん?」
「恥ずかしい、ですか? 私の名前を呼ぶことがですか?」
「あー……、えっと、うん、まあ」
「何故ですか? 私の名前に何か問題でもあるんですか?」
酷く不思議そうな表情でそう訊ねてくる天理。
こんな風に純粋に感情を前面に出されて、前述の通りに容姿端麗な大和撫子から下の名前を呼んで良いという許可を直々に貰って、嬉しくない男がいるだろうか、いやいない(反語)。
だが、悲しいかな恭介にはそのハードルはいささか高すぎたらしい。
「いや、そうじゃなくってさ……、んーっと、そうだ。そう言う話なら、天川さんだってそうじゃない。僕に対して敬語を使わないようにしてって言ったのに」
「それは……その……」
それまでのすっぱりとした物言いが突如としてもじもじと言い淀み、天理は視線を明後日の方向へと向ける。
そして、思いついたようにこんなことを言った。
「ほら、その、はしたないじゃないですか! 他人様に対して無礼な物言いをする様な躾、この天理、受けておりません」
「つまり、天川さんにとって他人に敬語を使うって言うのは常識なわけだ」
「無論です」
自分を武装できる理論を見つけた途端に竹を割ったようなすっぱりした物言いが戻ってくる天理。
そんな彼女の様子に小さな笑みを浮かべ、恭介は人差し指をぴっと立てた。
そう。恭介からすればまさにその論理こそを、彼女の中から引き出したかった。
「じゃあ、僕のもそれと一緒。って言ったら判って貰えるかな?」
「一緒……ですか?」
「そう。要するに、僕の中では女の子を名字で呼ぶのは常識なの。でも天川さんにとってはそうじゃないんだよね。だけど、逆に僕にとっては他人に敬語を使うのは常識とは言えない……、まあ同級生相手って限定させて貰うけどね」
「えっと……なんとなく、話はわからないでもありません」
「そう簡単には変えられないんだよ。天川さんが他人に敬語を使わずにはいられないように、ね」
「んー……、狐に摘まれたみたいな感じです」
「そうは言っても、天川さんだって自分で言ってたじゃない。常識だって」
「それは……、そうなんですけど」
なおも納得がいかない様子の天理に対して恭介は、返却されたが未だに元の位置には返されていない本が置かれている返却棚から、一冊の本をひょいと取りあげる。
天理の方へ向けられた新書のその表紙には、安っぽく古くさいデザインで「ニッポン人の常識95」と書かれていた。
「実際、この本にも書かれている。『人の数だけ常識がある。人の数だけ夢がある』ってね」
勿論真っ赤な嘘だった。
恭介はこの本は読んだことがない。本に書かれている、という程度の説得力を出さないと天理が納得してくれそうになかったので、単にそれっぽいタイトルの一冊を抜き出して、適当に言ってみただけだ。
が、この策、効果は覿面だったらしい。
天理が真っ黒な瞳を大きく見開き、恭介の手の中の新書をじっと見つめている。
「まあ、そんな素晴らしい言葉が!? 今度私もその本を読んでみましょうかしら」
「あー……、それはしなくてもいいんじゃない? これ以外はろくなこと書いてなかったし」
「そう、ですか? それは少し残念ですね。でも……」
なおも食い下がろうとする天理に、恭介は少し慌てて自分の貸し出しカードを探してくる。一瞬の早業。図書委員をやっているが故の特殊技能か。
本とカードをセットにし、天理へと差し出す。
「ほら、えっと、実は僕、もう一度借りて読みたいと思ってたんだ。だから天川さんには退いて貰えるととっても嬉しかったり……なんかするんだけど?」
「あら、そうだったんですか! ならそうと早く言って下さればよかったのに。読み終わったら是非教えて下さいね?」
「あ、うん、覚えてたらね」
天理に恭介の返却が伝えられることは、恐らく永久にないだろう。
天理は恭介から本とカードを受け取ると、カウンター内に外からは殆ど見えないように設置されている電子掲示板、そこから伸びているバーコードリーダーをカードと本にあてる。
ピッ、という小気味よい音と共に、カウンター内ならば「貸し出し完了」の文字が掲示板に浮かぶのが見えただろう。
彼女が手早く貸し出し手続きをしてくれた「ニッポン人の常識95」を鞄にしまう。
おかしい……こんなことをしに来たはずではなかったはずだ。というかむしろ恭介は図書委員で、今日の当番で、彼自身こそが貸し出し手続きをする側であったはずだ。
なのに何故に相方の仕事を増やしてにこにこ顔で冷や汗を掻きながら読みたくもない本を鞄の中へしまっているのだろうか。
何故?
「いや、そうじゃない。仕事だ」
「仕事……ですか? でも、今は幸いあんまりお仕事は無いみたいですけれども……」
そう言って、天理がカウンターの中から図書室を見渡す。
恭介も、カウンターの外から体を捻って図書室を見渡す。
成る程、図書室内には生徒の姿はまばら。何名かいる生徒もなにやら机の上でノートを広げて取り込み中であるらしく、本を借りようという生徒は殆ど見受けられない。
既に昼休みも半ば過ぎ、あと少しで昼の終わりを告げる予鈴も鳴ろうという頃。
折角の昼休みに図書室があまり利用されていないのには一抹の寂しさを感じないでもないが、確かに今日のお客は少ないらしい。
「でも、仕事しないわけにはいかないじゃん」
「それはそうですね。午前中の貸し借りの整理は先ほど既に済みましたが」
「……来るのが遅くて済みません」
「いえいえ」
そんな会話を交わしながら、恭介もカウンターの中へと入る。
この中に入れば恭介もまたいち図書委員として働く身。学生証と反応してカウンター内に掛けられた恭介の名札が勤務中を示す緑色に光る。
が、それだけ。
先ほど確認したように本日の昼休み業務は殆ど無いに等しい。
後は適当に時間を潰しながら昼休憩をカウンター内で過ごし、恐らく予鈴直前に来るだろう数名の借り出し客の対応をすれば、ミッションコンプリート。
そのはずだった。
それが聞こえたのは予鈴が鳴った約一分後のことだった。
昼休みのお客を捌き終え、図書室内に残っているのは既に天理と恭介の二人のみ。二人も自分の荷物をまとめて教室へ戻らなければならない。そんなタイミングだった。
カウンター内にいる二人にだけ聞こえるような、そんな微妙で絶妙な音量の、モスキート音。
脳みそを引っ掻くようなきぃんという音が鼓膜を揺らし、その発令を報せる。
咄嗟に二人共がカウンター内の電子掲示板に目をやる。
いつもは手続きに応じて貸し出しのステータスなどを表示している掲示板。
そこには、黒字に黄色という警戒色満点の色遣いでこんな文字が浮かんでいた。
《CASE1発生》
《当番図書委員は放課後業務を遂行せよ》
天理の方を見る。彼女も、掲示板から視線を上げ、こちらに緊張した表情を向けていた。
二人して、こくりと小さく頷く。
ミッション、スタートだった。
《続く》
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